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発達障害

発達障害_e0027033_2155477.jpg発達障害とは、様々な要因によって、生まれ持って脳に障害を持ち、行動に偏りがあったり、苦手なことがあったりし、問題や生きづらさを抱えている障害である。
今のところ生物学的な治療法はなく、療育の対象とされている。
2013年に改定されたDSM-5においては自閉スペクトラム症、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(限局性学習症)の3タイプに分けることができるが、これらは独立したものではなく、それぞれが重複して症状が発覚する場合もある。

自閉スペクトラム症とは、これまで広汎性発達障害と言われていたもので、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症の明確な分類が難しいことから、症状の重篤度をスペクトラム(連続体)として診断する前提で一つにまとめられたものである。
具体的な症状には社会相互性の障害、言語コミュニケーションの障害、想像性の障害などがある。
社会相互性の障害は、母親が指さした方に興味を示さないとか、興味を持ったものを指さして母親の同意を求めるなどの態度がみられないといった「共同注意」が成り立たないことや、危険な場所に差し掛かった時に母親が危ないといった表情を見せても理解できず「社会的参照」が成り立たないことなど、発達的二者関係の不成立が挙げられる。
言語コミュニケーションの障害は、「これは何ですか?」と言う問いに「これは何ですか?」とオウム返しするなど、会話によるコミュニケーションが成り立たない障害を指す。
想像性の障害は、具体的事象については理解ができるが、抽象的概念についての理解が難しいことをさし、いわゆる「心の理論」における誤信念課題に答えられない状態を意味し、後の集団生活において、共感・冗談・比喩などの点で問題が生じる可能性が高い。

ADHD(注意欠如・多動症)は読んで字のごとく集中力、注意力が散漫で、じっとしていられないのが特徴で、考えるよりも先に体が動いてしまう衝動性もある。またそれぞれの症状が個別に現れる場合もあり、すべてが当てはまるわけではない。
この症状は対人関係能力に障害を持ち、同じ動作の行動をとったり、こだわりが強かったり、興味を持つものが偏っているというような症状があり、とりわけ学校など集団生活において、「不注意」を怠け者とか、「多動性」をしつけが悪いとか、「衝動性」をわがままとか解釈されがちで、親の教育のせいにされることから発覚する場合も少なくない。

LD(限局性学習症)とは、これまで学習障害と言われていたのもで、全般的な知的発達の遅れはなく、「書く」、「読む」、「計算する」、「聞く」、「推論する」など、能力の中で特定のものや複数が出来ない障害であり、症状が軽いと気づくのが遅れる場合がある。

いずれの症状にしても、脳の器質的な理由が考えられ、親の養育が原因ではない。むしろ、社会全体が発達障害を理解することは、個性にあった教育や支援をすることが重要であり、安易なラベリングに終わってしまっては、後の人生において子供の自己評価を低減させ、うつ病や反社会性といった二次被害をもたらすだろう。

現在のところ、脳の器質的因子が言われているが、その発症原因は特定されておらず、社会病理学的な観点からも研究されなければ、根本的な解決には至らないだろう。
例えば、コンビニ弁当などの添加物だらけといった化学物質の食物や、生活の都市化に関わる職場のストレスとコミュニティの崩壊が夫婦関係に起因する問題など、一見関係がないように思われる社会構造が関わっていることは推察される。
また以前、精神遅滞と呼ばれていた知的能力障害においても、知能検査のIQが年々高くなる傾向を周知しなければ、知育偏重の連鎖に拍車がかかるだけで、個性を無視した早期からの習い事やお受験の片棒を担ぎ続ける教育の歪みから脱却できない。
実際、発達障害とは対照的な、養育者の虐待やネグレクト(育児放棄)による愛着障害も問題となっているが、症状として合併する部分が少なくない。愛着障害は養育者による早期に成立する安心感と信頼感に基づいた絆による愛情欲求の充足不足であるとされるが、発達障害とは気付かず、思い通りに育たない子供に対して虐待やネグレクトをしてしまうケースもあるだろう。
また、境界性パーソナリティ障害などの人格障害とされる事象においても、発達障害である可能性が否定できず、アセスメントにおいても支援においても、生物・心理・社会モデルなど多角的な観点から配慮されるべきである。
また近年、早期発見・早期支援により社会適応していく事例も出てきており、18か月児検診や3歳児検診でも発達検査が実施されているため、周知の徹底が望まれる。

以下、「特別支援教育」に基づく2004年に定められた発達障害者支援法の第一章総則(目的)第一条である。
 この法律は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であることにかんがみ、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者への支援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることにより、発達障害者の自立及び社会参加に資するようその生活全般にわたる支援を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とする。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/05011301.htm
by jun_hara | 2015-08-13 21:56 | 情報 | Comments(0)


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